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虫歯の詰め物の種類と選び方 ― 保険と自費の違いを歯科医が解説

虫歯治療後の詰め物選びが重要な理由
虫歯の治療を受けた後、「詰め物はどれを選べばいいのだろう」と迷われる方は少なくありません。
実は、詰め物の選択は見た目だけの問題ではなく、お口の健康を長期的に守るために非常に重要な決断なのです。私たち歯科医師は、患者様一人ひとりのお口の状態やご希望に合わせて、最適な詰め物をご提案しています。
詰め物には保険適用のものと自費診療のものがあり、それぞれに特徴があります。保険適用の詰め物は費用を抑えられる一方で、素材や機能性に制限があります。自費診療の詰め物は費用がかかりますが、審美性や耐久性に優れており、虫歯の再発リスクを低減できる可能性が高まります。
船橋あらき歯科矯正歯科では、患者様の気持ちに寄り添う「傾聴」を大切にし、治療内容について丁寧に話し合いを進めています。痛いのを治したい、しっかり噛みたい、見た目をキレイにしたいなど、皆様のお悩みは人それぞれです。

保険適用の詰め物の種類と特徴
保険診療で使用できる詰め物には、主に「コンポジットレジン」と「金銀パラジウム合金(銀歯)」の2種類があります。
コンポジットレジン ― 白い詰め物
コンポジットレジンは、セラミック粒子と合成樹脂を混合した白いプラスチック素材です。歯の色に近いため見た目が良く、前歯や小さな虫歯の治療に適しています。
メリット
- 色が歯に似ているので目立ちにくい
- 治療期間が短く、多くの場合2〜3週間で治療が終わる
- 歯を削る量が少なくて済む
- 金属を使用しないため、金属アレルギーの心配がない
- 修理が比較的簡単
- 保険適用のため費用が安価(数千円程度)
デメリット
- 時間が経つと変色し、見た目が悪くなることがある
- 強度が強くないため、噛み合わせが強い場合は欠けたり割れたりする可能性がある
- 経年劣化に弱く、黒く変色するリスクがある
- 大きなスペースには向かない
コンポジットレジンは初期の虫歯で利用されることが多く、歯磨きがきちんとされているなど口腔内の環境に問題がない方に適しています。
金銀パラジウム合金(銀歯) ― 耐久性重視
一般的に「銀歯」と呼ばれる詰め物で、金銀パラジウム合金という金属が使用されます。主に奥歯の詰め物として使用され、強度が高いのが特徴です。
メリット
- 金属なので強度が強く、強い力のかかる部位にも使用できる
- 保険適用のため費用が安価(虫歯の処置から装着まで10,000円程度)
- 耐久性があり、割れるリスクが少ない
デメリット
- 金属なので見た目が良くなく、目立ちやすい
- 時間が経つと金属が錆びて溶け出し、歯や歯ぐきの変色を引き起こす可能性がある
- 金属アレルギーを引き起こすリスクがある
- 虫歯が再発しやすい
近年は、パラジウムなどの金属が長期間口の中にあることで金属アレルギーを引き起こす可能性が指摘されており、海外では歯科でパラジウムを使った治療を行うことがすでに禁止され始めています。

自費診療の詰め物の種類と特徴
自費診療では、審美性や機能性に優れた素材を選択できます。
長期的な視点で考えると、虫歯の再発リスクを低減し、お口の健康を守るために有効な選択肢となります。
セラミックインレー ― 審美性と機能性の両立
セラミック(陶器素材)で作られた詰め物で、歯になじみやすく審美性が高いのが特徴です。最も自然な白さを再現でき、変色がほぼないため、長期間美しい状態を保てます。
メリット
- 非常に見た目が良く、ほとんど変色しない
- 汚れ(プラーク)が付きにくく、虫歯になりにくい
- 金属を使用しないため、金属アレルギーの心配がない
- 表面に傷がつきにくく、凹凸がないため歯垢が付着しにくい
- 最も適合が良く、二次的な虫歯になりにくい
デメリット
- 割れやすい
- 歯を削る量が比較的多い
- 天然の歯より硬いため、周囲の歯やかみ合う歯を痛めることがある
- 自費診療のため費用が高い(40,000〜80,000円程度)
セラミックインレーは、表面が比較的滑らかで細菌が繁殖しにくく、虫歯の再発リスクを低減できます。お口の中は湿度約100%、温度は約36℃の細菌にとっての天国ですが、凹凸が少ないセラミックなら、比較的虫歯の再発リスクを引き下げることができます。
ジルコニアインレー ― 強度と審美性の融合
ジルコニアは、人工ダイヤモンドとも呼ばれ、セラミックの中で最も強度を誇ります。傷や汚れにも強い性質を持ち、奥歯など強い噛み合わせが必要な箇所に適しています。
メリット
- 強度が高く、奥歯にも使える
- 割れにくく、食いしばりや硬い食べ物にも対応できる
- 汚れが付きにくい
- 白い素材のため見た目が良い
デメリット
- 削る量が多い
- 割れてしまうと調整ができない
- セラミックと比べると透明感が少ない
- 自費診療のため費用が高い(38,000〜70,000円程度)
ゴールドインレー ― 適合性と耐久性
金合金から作られる詰め物で、天然歯と同程度の耐久性があります。最も適合が良く、二次的な虫歯になりにくいのが特徴です。
メリット
- 金属なので強度が強く、強い力のかかる部位にも使用できる
- 最も適合が良く、二次的な虫歯になりにくい
- 金属の溶け出しによる歯ぐきの変色、金属アレルギーなどが起こる可能性が低い
- 歯との密着性が高く、虫歯の再発リスクを抑えられる
デメリット
- 金属なので見た目が良くなく、目立ちやすい
- 自費診療のため費用が高い(40,000〜55,000円程度)
ハイブリッドインレー ― バランス重視
セラミックとプラスチックを混ぜて作った詰め物で、型取りしてから詰めていきます。通院に時間もかからず便利な方法です。
メリット
- 金属アレルギーの方でも安心して使える
- 審美性が高く、前歯に使っても自然に見える
- 歯への負担が少ない
- 自費診療の中では比較的リーズナブル(20,000〜30,000円程度)
デメリット
- セラミックと比較すると耐久性や透明感は劣る
- 長期的な使用で変色が起こる可能性がある
- 歯茎が下がると歯との境界線が見える場合がある
保険診療と自費診療の本質的な違い
詰め物の選択において、保険診療と自費診療の違いは単に費用だけではありません。
実は、歯と詰め物の「隙間」が大きく異なるのです。
隙間の違いが虫歯の再発リスクに直結する
詰め物や被せ物は、接着剤のようなもので歯と固定されています。しかし、接着剤はどうしても経年劣化してしまいます。このとき、歯と詰め物の隙間が大きいと、そこに虫歯菌が侵入し、虫歯の再発につながります。
お口の中には無数の細菌が存在します。唾液が入るだけのスペースがあれば、虫歯にとっては十分なのです。したがって虫歯の治療においては、歯と詰め物の隙間をいかに狭くするかが重要になります。
自費診療の方がこの隙間を狭くできるため、虫歯の再発リスクを低減できる可能性が高まります。
型取りの精度が違う
保険診療では、寒天を使って型取りを行います。寒天は乾燥に弱く、1分で変形してしまいます。また、型取りの後に石膏を使って模型を作りますが、石膏は膨張しやすい素材です。
一方、自費診療では48時間変形を起こさないシリコン製の材料で型取りを行います。すべてをコンピュータ上でデザインする場合もあり、3Dプリンタなどの最新機器を使用して模型を作成します。
保険診療では、詰め物の作成過程で使う素材自体が非常に変化しやすいため、どうしても歯と詰め物の隙間が大きくなりやすいのです。
表面の違いが細菌の繁殖に影響する
保険診療で使用されるパラジウムやプラスチックは表面が比較的粗く、セラミックの方が比較的滑らかです。たったそれだけかと思うかもしれませんが、長期的に見ると、この違いが非常に大きな差を生みます。
大人の口の中には、300〜700種類の細菌が生息しており、歯を良く磨く人で1,000〜2,000億個、あまり磨かない人で4,000〜6,000億個、ほとんど磨かない人で1兆個が住みついていると言われます。
表面に凹凸が多いパラジウムやプラスチックを使うと、どうしても細菌が繁殖しやすくなり、結果として虫歯が再発するリスクも高まります。一方で、凹凸が少ないセラミックなら、比較的虫歯の再発リスクを低減できます。
詰め物を選ぶ際の判断基準
詰め物の選択は、複数の要素を総合的に判断する必要があります。
治療費を抑えたい場合
治療費を抑えたい場合は、保険が適用される素材を選択しましょう。コンポジットレジンや銀歯は保険診療で対応できるため、費用負担を軽減できます。ただし、定期的な検診やクリーニングで維持することが重要です。
見た目が気になる場合
前歯など口を開けたときに目立つ部分の治療には、セラミックやジルコニアを使用した詰め物がおすすめです。透明感があり、歯の色を調節しやすいという特徴があります。精巧なものであれば歯科医師でも一見本物の歯と見間違えてしまうこともあります。
虫歯のリスクを減らしたい場合
虫歯の再発を防ぎたい方には、セラミックやジルコニアがおすすめです。表面が滑らかで汚れが付きにくく、歯との適合性も高いため、二次虫歯のリスクを低減できます。
歯ぎしりの癖がある場合や噛み合わせが強い場合
食いしばりや硬い食べ物を食べる習慣がある方には、ジルコニアやゴールドインレーが適しています。強度が高く、割れにくい素材を選ぶことで、長期的に使用できます。
金属アレルギーがある場合
金属アレルギーの方は、セラミックやジルコニア、ハイブリッドインレーなど、金属を使用しない素材を選びましょう。コンポジットレジンも金属を使用しないため、安心して使えます。
詰め物を長持ちさせるためのポイント
どの種類の詰め物を選択しても、定期的なメンテナンスが重要です。
粘着性のあるものを食べない
ガムやキャラメルなどの粘着性のある食べ物は、詰め物が外れる原因になります。特に銀歯やゴールドインレーは、粘着力のあるものを食べると外れてしまうケースがあります。
丁寧なブラッシングを行う
詰め物と歯の境目は、特に丁寧にブラッシングする必要があります。歯垢が蓄積すると細菌が繁殖し、虫歯が再発するケースが多くあります。
定期検診を受ける
定期的な検診により、詰め物の状態をチェックし、必要に応じて調整や交換を行います。特に保険適用の詰め物は、時間の経過とともに劣化する可能性が高いため、定期的なチェックが欠かせません。
船橋あらき歯科矯正歯科では、継続して定期的に通っていただくことで、患者様の小さな変化に気づき、歯の健康と心身の健康をサポートします。
まとめ ― 患者様に寄り添った詰め物選び
虫歯治療後の詰め物選びは、見た目、耐久性、費用、治療時間など、様々な要素を総合的に判断する必要があります。
保険適用の詰め物か自費診療の詰め物かの選択も重要ですが、何より自分の生活スタイルや予算に合った詰め物を選ぶことが大切です。
船橋あらき歯科矯正歯科では、患者様一人ひとりのお悩みにしっかりと耳を傾け、治療の内容について丁寧に話し合いをしていきます。痛みに最大限配慮し、豊富な経験に基づく的確な診断を行い、患者様の声に寄り添った幅広い治療を提示いたします。
船橋駅北口直結・徒歩1分の好立地で、土曜・日曜も診療しており、平日は夜7時まで対応しています。急な歯の痛みなどの当日予約も可能です。
詰め物の選択でお悩みの方、他院からの転院・セカンドオピニオンをご検討の方は、ぜひ一度ご相談ください。詳しい相談を通じて、最適な詰め物を選択することをお勧めします。
詳細はこちら
船橋で丁寧・親身な歯医者さんをお探しの方は、当院へお気軽にご相談ください。
監修医師
医療法人社団高志会 船橋あらき歯科・矯正歯科 院長 新木 志門

経歴
・日本歯科大学 生命歯学部 卒業
・東京医科歯科大学 第二総合診療科
・都内歯科医院 勤務
・医療法人輝翔会 西大津歯科医院 勤務
所属学会
・日本口腔インプラント学会 会員
・顎咬合学会 会員
・歯髄細胞バンク 認定医

